
ある平日の午後。大阪の中央区にある就労継続支援A型事業所のMirrime(ミライム)では、小学校向けのナップサックセットが梱包されていました。中に入るのは、家庭科教材として使われる布地、紐、そしてパーツ。完璧に整えられたセットが、一つずつ、確実に、丁寧に透明な袋に収められていきます。

この作業現場では、工程管理、品質保持、納期遵守といった生産管理の基本がリアルに適用されています。パーツの数が一つ違えば、それは納品物の不備となり、次の教育現場でのトラブルに直結します。つまり、社会の微細な継ぎ目を支えている作業なのです。就労継続支援A型事業所では、障害のある方が労働契約を結び、最低賃金が保障された形で働くことができます。その中核にあるのが、このような正確さと責任を求められる軽作業です。

梱包完了後はトラックへ搬入し、クライアントへと納品されます。この一連の流れは、福祉とビジネス、支援と責任、保護と信頼のあいだにあるギャップを埋めています。就労継続支援A型事業所の存在が物流の現場に組み込まれていて、サプライチェーンを動かす側に立っています。
利用者さんの声
箱詰め、積み込み、搬出。作業自体はシンプルに見えて、実際にはチームでの連携とコミュニケーションが欠かせません。こういう仕事に軽作業というラベルがついているけれど、それは実態とズレてることもあるんです。
就労継続支援A型事業所は、福祉と労働の境界を越え、社会と個人を結ぶ実験的な拠点になっています。ここで行われている軽作業は単なる作業訓練ではありません。部品を数え、袋詰めし、納品する。その一つひとつの行為が、雇用、社会参画、そして自己肯定感の回復へとつながっています。
軽作業は本当に軽いのか──。