【就労継続支援A型の現場から】レコード屋さんで見つけたクリエイティビティーの本質

森ノ宮キューズモールを歩いていたときだった。喧騒でも静寂でもない、ちょうど良い音の粒に大学時代の記憶が不意に蘇った。

就労継続支援A型事業所 障害者雇用

え、TOWER RECORDS。
ここ、2025年ですけど──。

あの頃、音楽は所有するものでした。SpotifyもYouTubeもまだどこか未完成で、CDやレコードが物質としての音楽を証明していた。そんな懐かしいTOWER RECORDSの店舗が、森ノ宮に今も存在している。鮮やかなイエローとレッドのコントラストが、ストリーミング全盛の2025年に逆行するように、アナログレコードを堂々と売っているのだ。

Spotifyのアルゴリズムが勝手に曲を流す時代に、わざわざ手で選んで、ジャケットのアートワークに心を奪われて、レコードを買うという行為。これは、自分で選ぶことを奪われ続けてきたZ世代が、自分の感覚と居場所を取り戻すきっかけになるかもしれません。今回は、その感覚をダイレクトに体験できるリアルイベント「関西アトリエステージmarche Vol.6」に出店して、TOWER RECORDSカラーの服を着た職員と利用者さんが驚くべき売上を記録した話を書き綴っていきます。

就労継続支援A型事業所 デニム販売
出品したアイテムはリメイクデニム。

これらのデニムはすべて、就労継続支援A型事業所のMirrime(ミライム)で制作されたものです。Mirrime(ミライム)では、障害のある人たちが働くこととスキルを得ることを並行して行える場として設計されています。障害者雇用枠での就職に向けた訓練の場でありながら、その制作工程は単なる職業指導にはとどまりません。なぜなら、Mirrime(ミライム)が重視しているのは、「できるようになること」ではなく、「自分のやり方で作ること」だからです。

素材をわざわざ買いに行って、わざわざ選んで、わざわざ切って縫って・・・・・・手間がかかります。

これは生産性という意味での効率から見れば、決して合理的な方法とはいえません。しかし、そこにこそ本質的なクリエイティビティの源泉があると思います。クリエイターとしての基礎理解は「基礎のアートを応用してデザインをする」ところにあります。このスキルは、どんなクリエイターにとっても不可欠な必須条件です。

就労継続支援A型事業所 デニム販売
大阪の森ノ宮のキューズモールで出会ったTOWER RECORDSの一角で、人々はスマホを閉じ、指で盤面を選び、ジャケットの手触りに確かめるように、「考える手」を取り戻していました。アルゴリズムがレコメンドを支配し、自己表現すらテンプレート化される時代において、時間をかけて、手で選び、自由な売り方を守ることは、単なるノスタルジアではなく、社会的な再接続を意味しているのかもしれません。

利用者さんの声
このイベントでは、主に外国人観光客の方や30代の方にプロダクトを手に取っていただくことができました。これまで「誰に届けたいのか」を何となく考えていたつもりでしたが、今回の経験を通して、自分のプロダクトのターゲット層が少し見えてきたように思います。


「手で選び、手で作る」という最もアナログな行為が、アルゴリズムに左右されがちな時代の再起動スイッチになる可能性を、障害者雇用枠での就職に向けた社会参加を支援するトレーニングの場である就労継続支援A型事業所のMirrime(ミライム)のデニム制作とTOWER RECORDSのレコードが証明していました。もし効率が最適な答えをくれるのだとしたら、非効率はまだ語られていない問いを残してくれます。

働くことにおいて、あなたにはどんな問いがありますか?


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大阪市中央区にある就労継続支援A型事業所 Mirrime(ミライム)は、社会で生きづらさを感じている方に寄り添い、一般就労に向けた支援を行っております。
お仕事内容:動画編集・ものづくり・軽作業・清掃業務・その他業務
一人ひとりの得意や適性に合わせたさまざまな業務をご用意しております。