
就労継続支援A型事業所から生まれるストリートのプロダクト
就労継続支援A型事業所という言葉を聞いたとき、多くの人が思い浮かべるのは「支援」や「作業」といった穏やかなイメージかもしれない。だが、ここ大阪の現場では、もっとアクティブでリアルな空気が流れている。リメイクデニムの制作現場。針の音、ミシンのリズム、手の動きに宿る集中。この空間では、ただの制作ではなく、「売る」ことを前提にしたカルチャーの実践が行われている。
就労継続支援A型事業所のMirrime(ミライム)の就労継続支援A型の仕組みは、単に働く場を提供することにとどまらない。利用者さん一人ひとりが、マーケットを意識した創作活動に挑戦している。その中心にあるのが、リメイクデニム──ストリートカルチャーと再構築の象徴だ。
アイデアを“通す”という第一関門
最初に始まるのは「デザインラフ」の提出。利用者さんが自由に描いたラフスケッチは、職員によってチェックされる。それは単なる監修ではない。“誰に向けて作るのか”という問いに対して、デザインがペルソナ──つまり想定するターゲット像──に沿っているかを見極めるためのプロセスだ。20代、ストリートカルチャーに親しむ層。彼らが「着たい」と思うか。その一点を軸に、ラフが通るかどうかが決まる。

デザインがペルソナに合っているかを確認するチェック。
利用者さんが描いたデザインラフをもとに、職員がマーケット視点でアドバイスを行う。この工程が、就労継続支援A型事業所の特徴を表している。
このチェックは、就労支援A型の特徴でもある「チームでの制作」を象徴している。個々の感性を尊重しながらも、市場に通じるプロダクトへ導く。そこには、支援とビジネスの中間を歩むような緊張感がある。
“素材を選ぶ”という現場の眼
デザインが通過すると、次は素材選び。ここでも職員のチェックが入る。リメイクデニムに使われる生地は、古着や端材など、再利用可能な素材が中心だ。だが、どんな素材を選ぶかで印象は大きく変わる。色味、厚み、加工の痕跡。その全てが「ストリート」を語るパーツになる。

古着の生地を前に職員と利用者さんが相談している。
生地の質感や色味を確認しながら、作品の方向性を決めていく。大阪のA型事業所では、この素材選定が“売れるデザイン”への分岐点になる。
大阪という街には、リメイク文化が根づいている。古着屋が立ち並び、ストリートの感性が日常にある。その空気を取り込みながら、A型事業所の制作現場では「ファッションと就労支援」が重なる。
この工程を通して利用者さんは、単に縫う技術だけでなく「なぜそれが売れるのか」を考えるようになる。職員との対話を重ね、マーケットの視点を得ていく。この段階は、ビジネスとしての“ものづくり”を体感する時間だ。
試作から完成、そしてマーケットへ
素材が決まれば、ようやく制作が始まる。ミシンの音が響き、手が動く。少しずつ形になっていくリメイクデニム。その裏では、何度も試作が繰り返される。丈のバランス、色落ち、パッチワークの配置──どれも“売れる”ことを意識した調整だ。

試作品の制作工程。ミシンや工具が並ぶ。
職員のサポートのもと、利用者さんが実際にリメイクデニムを制作している。細部の調整を重ね、メルカリで販売可能な品質を目指す。
就労継続支援A型事業所の現場では、販売を意識したプロダクト制作が学びの中心にある。作るだけでなく、世に出す。そのために、厳しいチェックをクリアしていく。完成したリメイクデニムは、メルカリに出品される。そこで初めて、消費者のリアルな反応に触れる。経済活動の一部として、自分の作品がどんな評価を受けるのか。この経験が、利用者さんにとって次のステップへのモチベーションとなる。
職員の声
チェックを重ねるのは、否定ではなく育てるため。A型事業所の役割は、“働く”の前に“考える”を支えることだと思っています。営利活動ですから、マーケットを意識することは重要です。制作を通じて、利用者さんが自分のセンスを磨き、社会とつながっていく。そのプロセスが、就労支援A型の大きな価値だと思います。
見学のご案内
就労継続支援A型事業所のMirrime(ミライム)では、ものづくりに関心のある方を対象に、見学の受付を行っています。リメイクデニムをはじめ、企画や販売を学べる環境を見てみたい方は、ぜひ一度足を運んでみてください。大阪で就労継続支援A型事業所をお探しの方、また障害者の仕事や就労支援に関心のある方も歓迎です。実際の制作現場を見学することで、働くイメージを具体的に掴むことができます。A型事業所での在宅勤務やものづくり業務の募集についても、随時ご案内しています。気軽にお問い合わせください。
🍀利用者さま募集中(見学OK!)
🚃大阪メトロ・JR森ノ宮駅 7-B出口から徒歩3分
